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MUST WIN  (6) 「『勝つために』どうプランニングするか」小村淳ヘッドコーチ  

 自分に、仲間に、相手に勝つ。20年ぶりの日本一になるために。桶谷組が掲げたスローガンは「MUST WIN」だ。関東大学春季大会の初戦・流経大戦の前日まで、覇権奪回に燃えるリーダー陣それぞれの思いを紹介する。
 第6回は小村淳ヘッドコーチ(平4政経卒)。生活の全てをラグビーにささげ、重戦車復活を果たすべく指導を続けるグラウンドの指揮官に、昨季の振り返りと今季の意気込みを伺った。(この取材は4月20日に行ったものです。)


――ヘッドコーチとして4年目を迎えます
 最初に来たときからもう4年目か、というのが正直なところ。毎年選手も入れ替わっていく中で、今思えばあっという間に過ぎていった感じです。ただその中で少しずつチームのレベルアップはできてきていると思います。
フルタイムで選手の指導に当たっている
フルタイムで選手の指導に当たっている

――昨年度を振り返って、チームの完成度を高められたという実感はありますか
 完成度というより、最終的には結果のところを重視しています。結局は選手権のセミファイナルで東海大に負けてしまった。個々のフィジカルやスキルの精度や、チームとして戦術を遂行させることができなかったこと、主力のケガ人も大きかったので選手層も上げなければならないなどを反省材料とし今シーズンにつなげていきたいと思っています。

――反省材料で具体的に出たお話とは
 対抗戦で敗れた帝京大や最後に負けた東海大などの大型なFWのチームに対して、真っ向勝負する中での俊敏性や、いろんなシチュエーションでのボディーポジションが高く、低くなる動作も遅かった。この2月からはS&C(ストレングス&コンディショニング)を中心に、大きいながらももっと俊敏性のある動きを目指しています。やはり最後まで勝ち抜くためには、そこを今のうちから継続し意識付けしてやっていかなければいけないと感じています。

――数値的な部分で一昨年から昨年にかけて伸びた点はありますか
 タックルの成功率は上がりましたね。2年前の対抗戦4試合(筑波大戦、慶応戦、帝京大戦、早稲田戦)と選手権の3試合(関学大、大東大、筑波大戦)を足した平均と、昨年の対抗戦4試合と選手権の京産大戦を抜いた3試合(流経大戦、立命大戦、東海大戦)の平均を出しました。チームタックル成功率は67%から75%に上がり、チームトライ数の平均も3.4トライから5トライと上回りました。失点トライの平均も3.9トライから2.71トライと下回ることができました。 タックル成功率の数値が上がり、失点トライが少なくなったことによってディフェンス力は上がり、平均トライ数が上がったことによりアタック力も昨シーズンを上回ることができました。

――現4年生は入学時から指導されています。コミュニケ―ションの取りやすさはありますか
 今の桶谷(宗汰主将・営4=常翔学園)をはじめとした学年には、私の考え、やり方は浸透してきていると思います。例えば1年間のスケジュールや1週間の予定、戦術や戦略のプランニングなどの落とし込みなど。そして今年のチームのベースラグビーの遂行力や理解力、コーチと選手の共通認識などを今シーズンはしっかりと行いたいと思います。この言い方が正しいかどうかは分からないけれど、桶谷たちとは同じタイミングで入ってきた同級生で4年目なので(笑)。

――今年のチームの特徴は
 昨年は主力ポジションに4年生が多く、ゲームコントロールやディシジョンを任せられる選手が多かったです。私の予想以上にボールを動かすことができたチームだけれど、今年はどこまでできるかというのは未知数なところがある。もう少しシンプルに考えたラグビーもしていかなければならないと思います。

――中村駿太前主将(平28商卒・現サントリー)をはじめ、スタメンだった多くの選手が卒業されました。メンバリングに変化があると思います
 今までチャンスがなかった選手をどんどん使っていきたいです。春に限定して言えば、選手が掲げた「MUST WIN」、「必ず勝つ」ということからは少し違うかもしれないけれど、若い選手や経験の浅い選手にチャンスを与えAチームを勝ち取ってほしい。練習での態度や規律を守り、チームにパワーやエネルギーを与えている選手を起用していきたいです。そのような選手は、試合中でも同じことをしてくれます。

――また新たなチームを構築していく中で、今年の目指すべき形とは
 昨年はアタッキングラグビーのような形で自陣からでも積極的に空いているスペースを見つけてボールをワイドに振ったり、様々な形でボールを動かしてきました。今年、そこまでできるかと言えば先ほども言ったように未知数です。今年に関してはキックを使いテリトリーを取る、各ゾーンでの攻撃やキックプランというところを選手たちに対して明確にしていきたい。そこから敵陣に入って、22メートルラインを超えたら必ずスコアをするというスタイルをしっかり遂行する。そのためにもセットピースは引き続きフォーカスしていきたいです。

――FWがセットピースの点で目指すところを教えていただきたいです
 昨年は東海大と3回試合をして、春と夏はスクラムを押された。最後のセミファイナルでは成長を見せてそこまで後手(ごて)には回らなかった。やはりそこの安定は絶対に必要。またラインアウトのクオリティーに関して言えば、良いボールを出すことが70%程度と少し低かった。加えて昨年のロック小林航(平28法卒・現サントリー)のような大型の選手が抜けるので、今年は身長が落ちる。いかにリフティングスピード、ムーブスピードや精度を上げられるかだと思います。

――BKではキックプランが重要というお話もありました。新たに就任された池田渉BKコーチの存在は大きいですか
 トップリーグで長い間経験も積んできた選手ですし、明治のもう一つレベルアップしなければいけないポジションというのがスクラムハーフで、そこの経験者。そういったところを選手たちに落とし込んでもらいたいです。引退してからもまだそこまで時間が経っていないので、そういった意味でまだ動ける人だし、選手たちから見れば「動く見本」でもあります。彼がトップリーグで培ってきた価値観や経験を選手達に伝えてほしい。細かい視点からコーチングしてくれています。
グラウンド上での妥協など一切ない
グラウンド上での妥協など一切ない


――この春、注目の選手はいらっしゃいますか
 今のところは、長崎ドリームチーム戦に出場した山崎(洋介・法1=筑紫)は面白い選手だね。去年の九州大会の筑紫対東福岡を見て、筑紫は大敗したけれども、その中でランニングスキルやフィジカルがあって目立っていた。実際に、長崎での試合を見たらいいパフォーマンスをしてくれた。是非上のチームに絡んでもらいたいなと思っています。後は去年にケガで終わってしまった鶴田(馨・営3=筑紫)とかね、誰もが絶対的に梶村(裕介・政経3=報徳学園)と思っている中で、誰かがコンペティション(競争)していかなければいけないと思う。今はまだケガで出遅れているけれども。
 後はフッカー中村駿太の穴を埋めるのは誰かだね。彼は2番ながら機動力があってスキルもあった。昨シーズンの最後に控えに入った古田(雄也・商3=国学院久我山)、佐藤(公彦・法4=明大中野)や、今年入ってきた武井(日向・商1=国学院栃木)なんかもおもしろい。元々ナンバーエイトをやっていて、スクラムがどれくらい組めるかまだ分かっていないのですが、ラインアウトのスローイングもうまいですしジェネラルも走れる選手です。そういった1年生を含めて誰が出てくるのか、というのを期待していますし、楽しみにしています。

――最後に、ご自身にとっての「MUST WIN」を教えていただきたいです
 毎年、選手自身が考えるスローガンがあって、それがラグビーや私生活にどうつながっていくのかという部分のアドバイスをしています。彼らが「必ず勝つ」というのを挙げた中で、僕は具体的に「勝つために」どうプランニングするか。今の選手たちのレベルを理解した上で「これを落とし込んでいこう」というスケジューリングとプランニングがヘッドコーチとしては大事です。挑戦者ですが、大学日本一という素晴らしい形で4年生を送り出し、新たなウイニングカルチャーを浸透させたい。私たちコーチ陣、スタッフ陣が「MUST WIN」にできるように全力でサポートしていきたいと思います。

――ありがとうございました


◆小村淳(こむら・あつし)平4政経卒
 在学時は3度の大学日本一を経験し、4年次には主将を務めた。卒業後は神戸製鋼に進み、97年度からは主将を務めるなど日本選手権7連覇に大きく貢献。現役引退後はU―19日本代表ヘッドコーチや日本選抜FWコーチ等を歴任し、明治では2003年にもヘッドコーチを2期務めた。


[小田切健太郎]


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