
ディフェンスをかわす朴(成蹊大戦)

NEW MEIJI 〜最後の紫紺〜(26)「失速しない。気持ちを新たに戦う」朴成浩
新たな時代の幕開けだ。無念にも全国大学選手権初戦で京産大に敗れ、屈辱のシーズン閉幕となった昨年。雪辱を誓い新たに掲げた今年のテーマは「NEW “MEIJI”」。古川満主将(商4=桐蔭学園)と梶村祐介(政経4=報徳学園)を主軸に、FW・BKともに日本一の軍団を目指し、選手権優勝奪還に燃える。本企画「NEW MEIJI」〜最後の紫紺〜では大学最後のシーズンを迎えた4年生のインタビューを取り上げます。
第26回は、今季の対抗戦で紫紺デビューを飾ったフッカー朴成浩(政経4=大阪朝鮮)。これまでの対抗戦では青学大戦、筑波大戦、慶応戦、日体大戦のメンバーとして選ばれ、躍進が止まらないこの男。様々なポジションをこなしていたが、今季はフッカーに定着している。そんな彼にラストシーズンに懸ける思いを伺った。――青学大戦(◯68―28)で対抗戦デビューを飾った時の気持ちはいかがでしたか
緊張しましたが、何人か初めてのメンバーもいましたし、周りの人がサポートしてくれたので楽しく試合をすることができました。筑波大戦(◯68―28)で初めての秩父宮だったのですが、前の試合と雰囲気も良いくて緊張しましたが、逆に良い緊張感を持てました。
――これまで対抗戦に何度かスタメンで出場しています。ご自身が重戦車の1列目として評価されているところはどこでしょうか
自分の強みはセットプレーだと思っていますし、コーチ陣にもそれは評価されているので自信を持ってやっています。
――同ポジションには武井日向選手(商2=国学院栃木)などもいてスタメン争いが激しいです
ポジション争いに勝つためには、フィールドプレーが上手な日向と大塚(健太郎・商3=佐賀工)みたいなしっかりしたディフェンスやボールを持ったら前に出るなどの回数を増やしていけば良いプレーヤーになると思います。
――3年生まではケガで悩まされた期間もありましたが
2年生の菅平合宿終わりくらいから首の調子が良くなくてずっとリハビリしていたのでAチームに入る余地がなかったです。去年も春の試合が始まる3日前に首の調子が悪くなって去年復帰したのが11月の半ばくらいだったので、ジュニアの選手権も終わっていて結局年内に解散してしまったので出られなかったです。試合に出られない焦りもありましたが、ケガ人でもやれることはあるのでトレーニングをしていました。
――2年前のインタビューではディフェンスに苦手意識があるとおっしゃっていましたが、現在はいかがですか
苦手意識まではありませんが得意ではないです。もう少し激しく勢いのあるタックルができたらいいなと。
――練習中に意識していることはありますか
得意なスクラムとラインアウトはリーダーシップを持って8人をまとめる意識を持ってやっています。ディフェンスは練習後に何人かで残って練習をしています。
――ポジションはフッカー一筋ですか
今季も最初はプロップでいくという話だったのですが、清澄さん(田中ヘッドコーチ)にそれを言ったら「どっちがやりたいんや」と聞かれて「フッカーです」と答えたら「そっちでやりなさい」と言われて決まりました。プロップという話は自分がフィールドプレーが良くなかったのでAチームを狙うならプロップという選択肢でしたが、今はプロップもフッカーもチャレンジしています。
――紫紺を着てプレーするのは最後の年ですが、4年目に懸ける思いとは
優勝を目指して4年間やってきましたが、4年間を振り返って常に自分が本気で優勝を目指していたかと聞かれるとケガの期間もあったのでどこか傍観者でいたなという印象があります。今はプレーをしていて4年目で感じることもあるので優勝したいという気持ちが強いのと、勝つとか負ける以上に後輩だとかチームのことを考えてプレーしないといけないと思います。去年、京産大に負けてすごく悔しかったので、こんな思いを来年はしたくないと強く思いました。
――最上級生として意識することはありますか
4年生が頑張らなきゃ後輩は絶対に付いてこないと思います。僕がこの4年間過ごしている中で「早くシーズン終われ」と言っている先輩もいました。そういう先輩に付いていこうとも思わなかったですし、自分は試合に出ても出れなくても練習で熱いプレーで盛り上げていこうと思っています。
――今年のスローガンである「NEW MEIJI」はご自身にとってどんな意味を持ちますか
失速しないことです。対抗戦初めの方は毎年調子が良いです。去年も最後の最後で失速して負けてしまったので、良い調子をずっと続けられるようにすること。あとは清澄さんがきてから「マインドセット」という言葉を春から意識しているので、忘れずに秋冬にも気持ちを新たにして戦っていくことです。
――昨年の失速の原因は
4年生にまとまりがなかったかなと思います。試合に出ていない人と出ている人の温度差があったかなと。その点今年はないです。全員が勝ちたがっているし、帝京のC戦で1人がトライしたら全員で喜んでというところにもまとまりのあるチームは出ていると思います。4年生も毎年勝ち切れない原因を考えたし、感じたと思います。そう思っていて監督もコーチも気付いて話し合って、チームをつくり上げてきました。
――今年の4年生の特徴を挙げるとしたら
目指している方向が一緒です。意見も言い合えて、練習後もたくさん話をします。プレー中にお互い激しくなってケンカすることもありますが、それも真剣な証拠だと思います。
――その中で自分の役割とは
試合に出ている4年生はそんなに多くなくてFWは特に少ないので、満(古川)を支えるのが剛(前田・営4=報徳学園)だけだと足りないので満を含め試合に出ている4年生とリーダーシップを持って満とチームを支えることです。
――伝統の重みを感じる時はありますか
秩父宮に立ってそれを感じました。ファンが多くて、勝つことが求められているチームだと感じます。中学生の時に明早戦を見て、伝統も感じましたしかっこいいと思って、その時から明治に行きたいと思っていました。その時ゴール前のスクラムで、何回も何回もスクラムを選んで、スクラムトライを狙いにいく愚直な姿勢に憧れていました。
――最後に、残る対抗戦へ向けての意気込みをお願いします
ずっと帝京大が優勝していますが、帝京大だけにフォーカスするのではなく一試合一試合を頑張って毎試合毎試合こなす度に成長できたらなと思います。
◆朴成浩(ぱく・そんほ) 政経4 大阪朝鮮高級学校出 175cm・99kg
安定感のあるスローイングとスクラムが武器。2013年度高校日本代表。2015年度U20日本代表。将来の夢は経営者。最近はハマっていた英語の勉強に飽きかけている。
[長谷川千華]
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