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横浜高時代の恩師・渡辺元智氏


ボールパーク便り  柳裕也〜感謝〜@ 渡辺元智氏インタビュー  

 10月20日に行われたプロ野球ドラフト会議で中日ドラゴンズから1位指名を受けた柳裕也主将(政経4=横浜)。横浜高から明大に進学。3年次にはエースになり、今年からは「エース」兼「主将」としてチームをけん引した。通算22勝、春は投手3冠に輝いた柳が残した実績は、OBの川上憲伸氏(平10商卒)、野村祐輔選手(平24商卒・現広島東洋カープ)に匹敵する。本企画では、紫紺の歴史に名を刻み続ける柳選手の素顔に迫ります。

 今回は恩師・渡辺元智氏にお話を伺いました。(この取材は10月15日に行われたものです)


――初めて見たのはいつですか
高校に入学してくるまでは、実は見ていないんです。彼は自分から、自分の意志で横浜高校に来た。だからある意味では一般受験と同じですよ。うちは私学だから推薦入学もあったので、いろいろな選手を勧誘します。でも柳は本人自ら。だから初めて見たのは高校に入ってからですね。

――初めて見たときの印象はいかがでしたか
必ずしも入ってきた時はすごい選手じゃなかった。ボールはそんなに速くないんですよ。でも、ここでやるんだという姿勢がすごかったですね。「この子はすごく努力するなあ、信念持っているな」ということを感じました。その時は野球というよりも、人間性に惚れ込みましたね。

――信念とは
やっぱり目標を持ってね、コツコツ、コツコツ努力する。お母さんのためにも、そして亡くなったお父さんのためにも「よし、プロ目指すんだ」というね。言葉には出さないけど、力強くて、ずっしりした信念が伝わってきました。

――松坂選手や涌井選手など育ててきた一流の選手たちと比較して
みんながすごい練習をしていたけど、それに勝るとも劣らないだけのことをやっていました。「姿勢、天に通ずる」と。やっぱりね、野球の好きな子で、取り組む姿勢がしっかりしたらすごいですよ。そりゃ、うちの伝統で特にピッチャーは苦しい練習を課す。小倉というコーチがアメリカンノックで徹底的に鍛えたりしたけど、そういうことを嫌な顔せず率先してやる。逃げたいなという選手もいますわな。でも彼は違った。心技体どれをとってもしっかりした心構えを持った選手でしたね。いい先輩がたくさんいた中で柳がそれを継承してくれた。先輩たちのいいところを聞いて、あるいはプロ野球での姿勢を見て、彼も頑張ったんじゃないかな。

――高校時代印象に残っているエピソードは
彼が2年生のとき、選抜が懸かっていた秋の関東大会の作新学院戦だったかな。バントのサインを出したら右手の人差し指に当たってね。「そんなの痛くないだろやれ」って言ったんだけど、普段は痛がる選手じゃないのに痛がるから、手袋外したらつめが取れているの。それでピッチャー変わって負けちゃったんだけど、その後大会が終わって、選抜に出られる可能性があるという情報が入った。だから「柳、出るかもしれないんだったらピッチングをして、肩つくっていかなきゃいかんなあ」と話した。その冬の姿勢がとにかくすごかった。人差し指がつぶれているから、まともには投げられない。どうやって肩を慣らさせるかなということで考えていて、ちょこっと、中指と薬指の間にはさんでサークルチェンジのようにして投げなさいって言ってみた。そしたら、ずーっとそれで投げているんですよ。「この子すごいな」と本当に思いましたね。この時に、彼はスーパースターとは言わないまでも、まず、プロ野球に近づける逸材とだなと思いましたね。

――かけ続けた言葉はありますか
のちのちになってね、「お父さんのために、お母さんのためにプロになりなさいよ」とは言っていました。もちろんプロがすべてじゃないけど、目標に向かって努力する大切さを教えたかった。だから「目標がその日、その日を支配する。白いボールの中にも人生があるんだ」ということを、彼も座右の銘にして頑張っていることはうれしく思いますよ。

――明治に送り出した理由は
プロという選択肢もありましたよ。でも、そんなに騒がれていたわけでもないし、大学に行って力を付けてからにすべきだと思った。大学に行くのも大変だった。お母さん1人だし、学費を出したりね。そのためにもね、柳にはとにかく頑張れよと。「目標は1つ、プロ目指しなさい。そのためには努力しかない」と送り出しました。その後、大学からは善波監督になって、その善波監督も目標を定めながら努力する姿勢をね、非常に高く評価していてくれたんでね、明治に入って良かった、大学に入れて良かったなと思いましたね。お母さんもそう言っていました。いい大学に入りましたな。

――大学で成長したなと感じるところは
耐えるってことを覚えた。悪いなりにいいピッチングをするには何が必要か、それは人間性ですよ。今日のピッチングにしても、結果だけじゃない、その過程を見ても常に耐えるピッチングをやっている。それは素晴らしいね。人間がしっかりしてなきゃできないから。技術が伸びたことももちろんだけど、人間的にも一段と成長した。素晴らしいと思います。ピッチャーやって大変でしょうけども、善波監督や周りがキャプテンに推薦してね、それを見事にこなしている。これもまた柳を一回り成長させているんじゃないかな。野球はチームプレーだと。個を磨くことも大事だけど、団体の中で光るんであって、その団体の中でも際立って、耐えるということを実践している。それは本当に素晴らしいと思います。

――総合力では大学ナンバーワンと言われるようになりましたが、イメージはできていましたか
やっぱりね、努力ですよ。今も言ったけど技術にしても、ピッチングだけじゃ駄目。牽制もフィールディングもできなきゃ駄目。歴代うちの選手は、松坂にしても涌井にしても、そういう選手を見て、自分も近づきたい、追い抜きたいっていう気持ちがあったんでしょう。あとは自分の姿勢ですよ。それが柳は全然ぶれない。だから大学トップクラスのピッチャーになれたんだと思います。

――柳選手と話したりする機会は
もうここ来る度に話していますよ。メールも電話もしますしね。いつもこっちが送る言葉はね、「ケガ故障に注意して頑張れよ」。それだけです。あとの部分は心配ない。それに対して素直に「分かりました。頑張ります」と返ってくる会話の中にね、すべてを把握できるくらいの力強さがあるからね。

――プロではどんなピッチャーになってほしいですか
やっぱり先発・完投型になってもらいたいね。でも今は中継ぎ、クローザーと役割分担して投げるわけなんで、どんなことでもできる対応力も必要になる。でもね、今日みたいに苦しい局面の中で投げる、そして耐える。とにかく耐えるような、そういうタフな選手になってもらいたいね。

――最後にメッセージをお願いします
とにかくケガに注意して、この秋のシーズンを優勝してほしい。そして明治神宮大会に出て日本一になって、いい形でプロに進んでもらいたいです。

[尾藤泰平]

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