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チームの精神的支柱であり守護神の服部


一心  (5)2冠達成導いた服部一輝主将「ここは通過点。このチームはまだまだ強くなれる」  

 心を一つに頂点を目指す。昨季は総理大臣杯準優勝、関東リーグ戦2位、インカレ3位と好成績を残し続けたものの、ビッグタイトル獲得はならず。8名のプロ進出選手を要し、全国屈指のタレント陣を誇ったがあと一歩で栄冠を手にすることはできなかった。
 今季の目標は6年ぶりのリーグ戦優勝、創部初の総理大臣杯優勝、7年ぶりのインカレ優勝。昨季達成することができなかった3冠を再び最大の目標と定めた。今年のチームカラーは「みんながまとまって泥臭く勝ちにいくところ」と服部一輝主将(法4=札幌大谷)。球際・切り替え・運動量の3原則をベースに、組織的な守備と攻撃を貫き通す。本特集はそんなサッカー部の1年を追い続ける。
 
 8月の総理大臣杯優勝に続き、6年ぶりのリーグ優勝も現行リーグ体制となってから史上最速で達成。今回は2冠獲得を導いたGK服部のコラムをお送りします。
 関東大学リーグ戦第8節から破竹の11連勝。第18節で明大は慶大を2−1で下し、現行リーグ体制になってから史上最速となる優勝を決めた。歓喜の中心にいた服部は「3冠を掲げているので、2冠目を取れてまずはほっとしています」と胸をなでおろした。

 勝てばこの日での優勝が決まる慶大戦は前半15分にセットプレーの混戦から先制点を許す。前半唯一の相手のシュートに無情にもゴールネットを揺らされた。「全体のミーティングでもそうでしたけど、選手間のミーティングの中でも僕たちは優勝という言葉は口にしませんでした。それでも気負いがあったからあの失点につながったのかなと僕は捉えています」。目に見えないプレッシャーが前半立ち上がりは重くのしかかった。イージーなファウルやミスが目立ち、流れがつかみ切れない中での失点だったが、ここから今年の明大の強さが出た。「逆転できる自信があったので、ピッチの中でも外でも慌てる選手はいませんでした」。徐々に自分たちのサッカーを取り戻すと前半のうちに2ゴールを挙げ逆転に成功した。
 後半、一矢を報いたい慶大も猛攻を仕掛けるが、この後お互いのゴールネットが揺れることはなかった。ディフェンスラインの裏へのロングボールも持ち前の守備範囲の広さでしっかりとケア。相手に抜け出されても絶妙なタイミングの飛び出しで、シュートコースを狭めミスを誘発した。そして、試合終了のホイッスルが鳴り響くと、服部は最後尾で両腕を大きく突き上げガッツポーズ。創部初の優勝を飾った8月の総理大臣杯から約2か月。6年ぶり4度目のリーグ制覇で2冠を手に入れた。それでも慢心はない、服部は既にその先を見据えた。

 「前半のセットプレーから失点をしてしまったというところは、優勝が目に見えていたところもあって、難しかったのかなと思っています。でもそこから前半のうちに逆転できたことは、日々の練習でやってきた積み重ねが出たのかなと思います。今年逆転勝利というのが多いんですけど、先制点を取られてしまうことは僕たち守備陣としてはよろしくないことなので、先制点をやらないという部分を残りの4試合しっかりとやっていって、インカレへとつなげていきたいと思います」

 「色々ある」と前置きをおいて、栗田大輔監督はリーグ戦優勝の要因の一つに服部の存在を挙げる。絶対的支柱である背番号1は最後尾からチームを司る。90分ピッチの中でこだまし続ける服部の声。それは後ろからピッチ全体を見渡し守備陣形を整える、いわゆる「キーパーの声」だけにとどまらない。自身もストロングポイントに挙げるコーチング力において、服部の真骨頂は「キャプテンの声」にある。チーム立ち上げの2月から服部は4年生と共に常にポジティブなチームづくりを目指した。「悪い雰囲気でやっていてもチームは良くなっていかないので、褒めるところは褒めて厳しくするところは厳しくします。その上で常に前向きなチームをつくっていきたいです」。ピッチの中でもその姿勢は変わらない。チームが劣勢にあっても「大丈夫だから!」。その一声で落ち着きをもたらす。名前を呼んで「ナイス!」。その一声で選手の士気を上げる。一転気持ちの入っていないプレーには厳しく指摘する。絶大な信頼を得る主将の「声」はピッチの中で圧倒的な存在感を誇る。

 快進撃を続けるチームの中で、もどかしさも味わった。故障の影響で後期初戦となる第12節から5試合を欠場。服部がスタンドでの応援やサポートでチームを支える中で、2年生GK長沢祐弥(政経2=藤枝東)が5試合で2失点の好パフォーマンスを披露し、後期の好スタートの中で重要な役割を果たした。服部はその後の第17節日体大戦で先発復帰。1失点こそ許したがチームは2−1で勝ち切り連勝をキープした。いつも通りに熱く冷静に見えた守護神だったが、試合後はほっとした表情を浮かべた。

 「チームが非常にいい状態できている中でキーパーを代えるのはチャレンジというか、リスクがあったと思うんですけど、そこで使ってもらっているので自分のプレーどうこうよりもチームを勝たせるために試合に入りました。主将という立場で故障でゲームに出られないもどかしさはもちろんありましたけど、チームのために尽くしてきた自信もありました。自分が出ることでチームを勝たせられる選手になりたいと常に思っていますし、連勝の記録というよりは、チームの流れを切らなくて少しほっとしました」

 ピッチから離れたからこその発見もあった。ベンチやスタンド、いつもとは異なる視点からチームを見て「難しいゲームになっても中で話してうまくゲームを運べるすごくいいチームになってきました」と手応えを再確認した。自らの理想とするチームに近づきつつあるが、それでもまだ突き詰めねばならぬ部分もある。「来年に向けて僕らが後輩に何を伝えられるか」。後輩、そして未来の明大サッカー部へ何を残すべきかを常に考える。チームを大事にする服部らしい一言だった。
 シーズン当初から掲げ続ける3冠達成へ、残すは12月のインカレの頂点奪取のみ。「(リーグ)優勝したという実感はまだないです。僕たちの目指しているのは後期全勝優勝であり3冠の達成ですから。ここは通過点。僕たちはまだまだ強くなれます」ときっぱり。現状に決して満足しない男は、最大の目標達成のために、目の前の一戦一戦を全力で戦い続ける。

[鈴木拓也]

◆服部一輝(はっとり・かずき)法4 札幌大谷高出 182cm・72kg
ポジションはGK。高いセービング能力とコーチングでゴールマウスを守る明大の守護神



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