
随所にこだわりが見られる賀川のM1913

私とライフル (1)賀川素貴のアンシュッツM1913
体育会各部のなかでも射撃部の"道具"へのこだわりは随一。
彼らが「共に戦ってきた仲間」と称するライフルのエピソードを連載形式で紹介していきます。
賀川(農3)はその得点力だけでなく、ストイックに上を目指す姿勢で射撃部を引っ張る"エース"だ。学生射撃界のトップをひた走る彼は、その相棒のライフルにたいしても熱い思いをもっている。彼らが「共に戦ってきた仲間」と称するライフルのエピソードを連載形式で紹介していきます。

とにかくよく当たる銃だといわれる。賀川のこだわりで磨き抜かれたこの銃は、明治のなかでもずばぬけた"名銃"といっていいだろう。
2005年春、高校を卒業する直前に初めてこの銃をとった。火薬式のSBR(スモール・ボア・ライフル)は、通常では大学生から持ち始めるものだ。ところが賀川は徳島県の連盟推薦により、誰よりも早く本格的なライフル競技の道に入った。それ以来使っているというから「自分の初代SBRですね。それだけ愛着はあります」。
「みんなと同じもの使ってますよ。でも、僕のはあちこち変えすぎてて原型とどめてへんなぁ…」。賀川の相棒・ドイツ・アンシュッツ社のM1913は学生射撃では最もポピュラーなスモール・ボア・ライフルだ。他大を含め多くの選手が使用している銃だが、賀川のものは一味ちがう。「ストックを純正のクルミ製からMECのProjectに変えてます」。ストックとは、ライフルのなかで撃ち手に直接触れている部分。肩でライフルを安定させ、衝撃を吸収するためにとても大切な部位だ。それだけに普通の選手であればまず手をいれないが、賀川は"大改造"に踏み切った。「正直、とても迷いました…。でも、もっと上を目指すために…結局部品を買うの決めるまで、銃砲店まで8回も通って」。迷った末の決断だったが、成果は「調節ができるようになって、肩を入れやすくなりました。弾の反動をより吸収するようになってくれて、撃ちやすい」。
学生射撃では常に高レベルの成績を残してきた賀川。しかしこの銃との思い出は、少しほろ苦い。「(優勝候補と言われながら、総合3位に終わった)一年生の時の全日(全日本インカレ)が一番印象に残っとる。一年生で初めてレギュラーで出たんやけど、撃てんかって…」。賀川は今でもその悔しさを忘れていない。いつか明治で、この悔しさを挽回したい。その一心で誰よりも練習を重ねている。名銃を形作っていたのは部品より何よりも、賀川とM1913に刻まれた、苦い思い出だった。
☆ライフル諸元☆
銃身:Anschuetz Model1913(スモール・ボア・ライフル)
ストック:純正クルミストック→MECプロジェクト
最高成績:SBR三姿勢60発 578点
SBR三姿勢120発 1137点
SBR伏射 60発 583点
使用歴:2年(05年春〜)
☆浅野主将のひとことアドバイス☆
銃の知識については、学生射撃界で並ぶ者なし!改造王として名をはせる浅野主将(政経4)に聞きました。
「賀川のM1913については言うことないね。とにかく足りない部分がない完璧な銃。(学生射撃で)アンシュッツ純正のものからMECにストックを変えているというのも賀川ぐらいじゃないかな。10点満点でいうと?9・5点だね。あえていうなら、スリーブが三姿勢にあわせて調整できるようになれば、成績がより安定すると思う。でも、とにかく明治では一番当たっているものだし、自分も撃ってみたくなるような魅力的な銃だよ」 (談)
[伊藤祐基]
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